米国永住権(グリーンカード)を取得した <2018-2021>
11/21/2021, 1:18:31 PM
先日I-485がapproveされ、とうとうグリーンカードが手元に届いた。アメリカで働き始めて8年、申請プロセスが始まってから3年、やっと。
もっと長い間待っている人がいることは知っているが、それでもやっぱり、はあぁ、やっと。長かった。
先人たちにならい、後に続く人々のために記録を残しておこうと思う。
何度も見返した先人たちの記録
- 2018/2019 米国永住権を取得した
- 米国グリーンカードInterview-体験談
- シリコンバレーで働いて永住権を取得するまで <2016-2019年版>
- How I Got My Green Card
- グリーンカード
それと、プロセスの後半で心の健康を保つのに一番役に立ったサイト、greencardly。Field Officeごとの日付データを眺めると、自分のものだけが遅れているわけではないことはわかる。週一くらいで見ていると、だんだん自分のものに日付が近づいてきて、そろそろかなあと思ったときに本当にRFEが来た。
手続きのタイムライン
以下に時系列をまとめる。何も起きなくて不安な期間を表現するために1ヶ月を1行にした表にしてみた。こうやってみると淡々と手続きが進んだように見えるかもしれないが、実態はもちろんローラーコースターライドだった。それらの感情的な部分や感想文的な備忘録は、後で見返して懐かしむために別途米国永住権(グリーンカード)取得顛末記 <2018-2021>としてダラダラと書き殴った。最後の最後で、妻の分の申請が自分のものが承認されてから1ヶ月半後にようやく承認されたのも、そんなことになった人を他に見たことがなかったので、肝を冷やした。
就労ビザ | 永住権 | |
---|---|---|
2013/04 | L-1Aビザで入国。ニューヨーク市で働き始める。この時点でH-1Bの抽選も通過していた。 | |
2013/10 | 一度帰国してH-1Bビザに切り替え | |
2014/04 | 妻がH-4で入国 | |
2016/10 | H-1Bビザを更新 | |
2017/08 | H-1BビザをTransferして転職 | |
(ここから1ヶ月1行) | ||
2018/06 | GCへの切り替え手続き開始 | |
2018/07 | ||
2018/08 | ||
2018/09 | ||
2018/10 | NYS Job Bankに自分の職の募集が掲載されていることを確認。 | |
2018/11 | ||
2018/12 | ||
2019/01 | ||
2019/02 | prevailing wage determination入手PERM申請準備完了 | |
2019/03 | ||
2019/04 | ||
2019/05 | ||
2019/06 | ETA Form 9089承認I-140申請手続き開始 | |
2019/07 | I-140承認I-485、I-131、I-765提出 | |
2019/08 | 自分の分のI-485、I-131、I-765申請受領通知妻の分はRejected | |
2019/09 | USCISに指紋を渡す | |
2019/10 | 妻の分の再申請提出自分の分のI-131とI-765の承認自分のI-485が10/9時点でReady to schedule an interviewであることを確認自分の分のEADカード到着妻の分のI-485、I-131、I-765申請受領通知 | |
2019/11 | 妻、USCISに指紋を渡す | |
2019/12 | H-1Bの延長手続きを開始 | |
2020/01 | 妻のEADカード到着H-4だった妻はここでようやくSSNが割り当てられた。 | |
2020/02 | H-4延長のため再度USCISへ出向いて指紋を渡す | USCISのWebサイトにて妻のI-485が2/25時点でReady to schedule an interviewであることを確認 |
2020/03 | USCISが対面の面接などの業務を短くとも4/1まで停止することを発表 | |
2020/04 | USCISのWebサイトにて、2人のI-485が"we cancelled the interview scheduled for your Form I-485"になったことを確認 | |
2020/05 | H-1Bの延長手続き(I-129)の承認通知受領。2021/02末まで。 | |
2020/06 | H-4の承認通知受領 | EAD/APの更新手続き開始 |
2020/07 | ||
2020/08 | ||
2020/09 | ||
2020/10 | ||
2020/11 | ||
2020/12 | ||
2021/01 | H-1B延長申請提出H-1B延長申請受領通知H-1B延長承認 | |
2021/02 | H-4のため、またしてもUSCISのオフィスへ出向く必要がある旨の通知を受領 | |
2021/03 | 妻、USCISへ出向いて指紋を渡す(通算3回目) | |
2021/04 | ||
2021/05 | ||
2021/06 | H-4延長承認。期限はもちろん半年後の2月末まで。 | |
2021/07 | 2人のI-485に関するRequest for evidence(RFE)が届く。 | |
2021/08 | RFE返信(と思われる) | |
2021/09 | USCISのWebサイトにて、自分のI-485がCase Was Approvedになったことを確認。妻はまだ。 | |
2021/10 | 自分の分のカードが届いた。妻はまだ保留中のまま。 | |
2021/11 | 州選出の上院議員のオフィスからUSCISへ妻の件を照会してもらう。妻のI-485がNew Card Is Being Producedになる。妻のカードが届いた。 |
何かアドバイス的なこと
先人たちのアドバイスはすべてその通りなので、他の方々の記事も大いに参考にしていただいた上で。
雇用ベースのグリーンカードの申請をしようかと思っていて、結婚しているパートナーの分も合わせて取得しようと思われている方、結婚してから以降のお二人の婚姻状態をUS国内で証明できるような行動をいますぐ始めることをおすすめします。婚姻状態の証明といっても、日本の戸籍謄本とその翻訳のことではないです。外国の政府の印章がついている文書になど1セントの価値もありません。
具体的には(IANAL)、USの銀行に共同名義の口座を持つ、部屋を借りるとき2人の名前が載っている賃貸契約書を作る、確定申告はJointで行う、健康保険のdependentであるならそれを示す書類をずっと取っておく、などです。これらだけではないですし、これらの有効性も確実ではありませんが、一方でこれらはグリーンカード以外のお役所の申請時にも役立つはずです。特にパートナーがH-4である場合、SSNを持てないせいもあって銀行や賃貸などの書類を全部パートナー(H-1Bの方)の名義にしがちな気がしますが、お2人が生計を一つにしていることを証明できるようにしておくと便利だと思います。結婚式の写真や、結婚後の期間が短い方は結婚以前の交際中の時期からの写真も見繕っておくとよいと言われていますが、私たちの場合は結婚式の家族全体の集合写真を提出しただけで交際中の写真は出していません。
我が家の場合、私が米国にビザで来たのが2013年4月、妻がH-4で来たのが2014年4月でした。RFEで要求された「よい(bona fide)」婚姻状態を示す文書はすべて(弁護士によれば)2014年1月にさかのぼれなければ無効というような扱いでした。2014年時点ですぐにできたはず(なのにしなかった)ことといえば健康保険の状態変更に関する文書を捨てずに取っておくことや共同名義で銀行口座を開くことくらいしか思い当たりませんが、それをしておけば、グリーンカードに限らず運転免許証を取るときなどにも役立ったはずで、知らなかったことが悔やまれます。
その他、あんな書類やこんな書類がなくて困った、日本の親族を巻き込んだ特急対応が必要だったなどのことは、まとまってはいないですが、米国永住権(グリーンカード)取得顛末記 <2018-2021>に書きました。
短い方の感想文
これを読んでいる人の中には、今このときに不安の真っ只中という方もいると思います。その不安は出した申請をUSCISが承認してくれない限り静まることはないでしょう。一連のプロセスの中で、ポンポンと迅速に手続きが進む瞬間があって、そこで期待値を上げてしまって、そこからの長い無風状態でかえって不安を増大させてしまう。あるあるです。人間だもの。
自分ではコントロールできないことが、こちらの期待を大幅に下回る感じでしか行われないです。理不尽なことが多々あります。先人たちの多くが書いているとおり、それに対抗する方法は「期待しない」ことしかありません。 「Prepare for the worst, and hope for the best」という言葉もありますが、ここでは以下のQuoteの方がしっくりきます。
Hope. It is the quintessential human delusion, simultaneously the source of your greatest strength, and greatest weakness-- The Architect of The Matrix
しかし、他人に期待するのはやめましょうで終われるならいいのですが、就労ビザや雇用による永住権の申請については、スポンサーたる会社との関係も重要です。一部の「PERM終わってれば転職し放題ヒャッホウ」な凄腕の方々を除いて、会社が申請期間中に雇用を継続してくれることを、それこそ数年に渡って期待せざるを得ないです(*1)。
自分の場合、2018年という移民全体への風当たりが強い時期に申請手続きが始まって、COVID-19のパンデミックでUSCISが文字通り仕事をしなくなってEAD/APも更新されなくなり、承認済みのI-140に基づいてH-1Bを毎年更新してもらってどうにか過ごす必要がありました。その度にかかる弁護士費用や諸々の手続きは会社の負担になるので、それに見合う成果を上げているのかどうか不安でした。そういう不安を1:1などで口にするたびに「クビなんてことは起こらない、大丈夫」と言い続けてくれた上司たちや会社全体にとても感謝しています。グリーンカードをゲットしたらすぐ転職するってのが普通なようにも見えますが、心情的にそんなことはしづらいくらい恩を感じています。
*1 PERMが通っていれば、転職先の会社がスポンサーになってくれる限り、会社を変えても手続きが一からやり直しになるわけではないというのは事実でしょうが、EADも更新されずH-1Bの期限も切れている状態の、ラダーの下の方の人をスポンサーする会社がいくつもあるとは思えないです。